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神奈川県作業療法士会(リハビリテーション・作業療法士)
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介護予防・地域支え合い事業 作業療法士による実践



この冊子について


 高齢者や障害者が要介護状態になることを予防して在宅生活の継続を支援することは,作業療法の役割の1つです.
 このたび神奈川県作業療法士会では,県内で働く作業療法士が,どのように介護予防・地域支え合い事業(旧 生活支援事業)に関わり,何をしているかについて,実態調査を行いました.

 その結果をもとにできたものが,この「介護予防・地域支え合い事業 作業療法士による実践」です.
 本冊子が,作業療法士が提供している介護予防・地域支え合い事業のサービスのご理解に役立ちますことを願っております.

平成15年6月1日 神奈川県作業療法士会



作業療法士ができること


 こんな時,どうしますか?
こんな時,どうしたらいいの?

 作業療法士はこんなお手伝いができます.

 作業療法士は,障害をもつ,あるいはもつ可能性のある全ての人が,住み慣れたところで,安心して,その人らしく生活できるよう支援するリハビリテーションの専門職です.

道具の利用,動作の工夫 自立を目指す

交流促進

張りのある生活を




実態調査の結果から


 神奈川県の作業療法士はどの事業に関わっているのでしょうか?

 実態調査によると,最も多く関与していた事業は「機能訓練事業」で,これは従来より実施されているものです.
 「介護予防・生活支援事業 (註)」では,住宅改修支援事業と痴呆予防・介護事業に多く関与していました.

(註:平成15年度より,生活支援事業は地域支え合い事業に名称変更)


介護予防・生活支援事業 保健福祉圏域 合計
(人)
横浜 川崎 横須賀
三浦
県央 湘南 足柄上 西湘 県北
住宅改修支援事業 11
転倒骨折予防事業
痴呆予防・介護事業
地域住民グループ支援事業
その他※

機能訓練事業(A型・B型) 17 36
※その他:「計画段階での関与」,「総体的な関与」,「膠原病のリハビリテーション」

 調査方法と回答数

 (第1次調査 −平成14年8月実施)
 神奈川県作業療法士会会員が勤務する全176施設および自宅会員101名全員に,介護予防・生活支援事業と老人保健法に基づく機能訓練事業への関与について,郵送調査を実施した.

   有効回答数:施設117,自宅会員23(回収率:50.5%)

 (第2次調査 −平成14年12月実施)
 第1次調査において,介護予防・生活支援事業または機能訓練事業に「関与している」と回答した26施設に対し,具体的な実施内容についての郵送調査を実施した.

   有効回答数:14




実践の紹介


 事例1 住宅改修支援事業

1.開催頻度月1回(年12回)

2.作業療法士が関わる頻度:月1回(年12回)

3.事業概要
  ・相談者の家屋を訪問し,改修の相談を行う.訪問後,各相談員が報告書を作成する.
  ・相談時間:1件1時間程度
  ・相談員:建築士(1または2名),作業療法士(1名),社会福祉協議会の職員(1名)

4.主な対象者
  ・対象者:高齢障害者
  ・1回の相談件数:平均2件

5.作業療法士が関わることの利点
  ・医学的知識をふまえて,利用者の心身機能,日常生活活動および環境を評価できる.
  ・痴呆や高次脳機能障害がもたらす生活障害へのアプローチができる.
  ・障害がもたらす生活上の困難を,具体的にイメージしながら助言できる.
  ・住環境の整備によって改善される動作が何であるかを提示できる.
  ・利用者に適した福祉用具や自助具の紹介,処方ができる.

<建築士側の意見>
  ・作業療法士に相談員になってもらい,非常に心強い.
  ・福祉用具のアドバイス等,大変参考になっている.

 事例2 転倒骨折予防教室

1.開催頻度:月1回(年12回)

2.作業療法士が関わる頻度:月1回(年12回)

3.事業概要
  ・ストレッチ体操や転倒予防のための体操
  ・レクリエーションによる仲間づくり
  ・健康相談(生活上の問題に関する個別相談)
  ・寝たきり予防に関する講話

4.主な対象者
  ・対象者:高齢障害者,虚弱高齢者,介護家族,地域一般住民
  ・1回の参加人数:平均約15名

5.作業療法士が関わることの利点
  ・日常生活の中の具体的な動作の仕組みを説明することができる.
  ・レクリエーション感覚で参加者間の交流も大切にしながらプログラムを展開できる.
  ・日常生活の中で注意すべき点をリハビリテーションの視点からアドバイスできる.

 事例3 痴呆予防・介護事業
作品例
1.開催頻度:8回(平成13年度)

2.作業療法士が関わる頻度:8回
            (平成13年度)

3.事業概要
  ・痴呆が日常生活に及ぼす影響,
   痴呆に対するリハビリテーション,
   痴呆予防の具体的方法などに
   関する講義.
  ・痴呆予防に役立つ箸袋や
   小箱などの作品づくり.
  ・体操:顔の体操など.
    ※プログラム内容の組み合わせは,
      実施地区の参加規模や
      時間により異なる.
  ・実施時間:1〜2時間程度
  ・スタッフ:作業療法士(1または2名),社会福祉協議会の職員(1名),保健師(1名)

4.主な対象者
  ・対象者:健常高齢者
  ・1回の参加人数:平均約40名

5.作業療法士が関わることの意義
  ・日常生活に結びつけて,痴呆症状を具体的に説明できる.
  ・「こころ」と「からだ」の両面にアプローチできる.
  ・作品づくりを通し,物品を扱う能力をみることができる.
  ・日常生活の中で,ものづくりが痴呆予防につながることを説明できる.
  ・個々の参加者の能力に合わせて,作品製作の難易度を変えることができる.
  ・作品づくりをきっかけに,興味をもって行える活動を見つけることの大切さを伝えることができる.
  ・参加者の興味や関心に合わせて,作品の種類を選択し,提示することができる.

 事例4 機能訓練事業(A型・B型)
活動場面
1.開催頻度:年24回

2.作業療法士が関わる頻度:
             年12回

3.事業概要
  ・月2回,
   半年コース(全12回)を
   年2コース実施.
  ・自立性を高めることを
   目的にしているため,
   実施内容は初回時に
   利用者の話し合いで
   決定する.
   レクリエーション,手工芸,
   調理などが多い.

4.主な対象者
  ・対象者:高齢障害者,虚弱高齢者,介護保険を利用していない人
  ・1回の参加人数:定員20名

5.作業療法士が関わることの意義
  ・「障害」という現実を受け入れられない障害者に,心のケアや支援ができる.
  ・病院での訓練は終了し,介護保険では「自立」と認定されると,
   医療からも介護からも「対象外」とされるため,身体レベルが高いにもかかわらず,
   閉じこもって生活する人が多い.このような人たちに対し,支援できる.

 事例5 機能訓練事業(A型・B型)

1.開催頻度:週5回

2.作業療法士が関わる頻度:週5回

3.事業概要
  ・A型機能訓練: 機能訓練会(基本型)
体調チェック,リハビリ器具を用いた理学療法・作業療法,
自主訓練メニュー作成と生活相談など
  ・B型機能訓練: @機能訓練会(地域参加型)
 閉じこもりや要介護状態になることを予防するための,
 日常生活活動についての相談,作業療法など
Aリハビリ相談
 作業療法士,理学療法士,言語聴覚士による
 機能評価とリハビリメニュー作成
B自主グループ訓練
 自主グループの運営・企画,仲間づくりの支援
 ※「痴呆予防・介護事業」はB型機能訓練内で一体的に実施.

4.主な対象者
  ・対象者:高齢障害者,虚弱高齢者,介護家族
  ・1回の参加人数:定員10名

5.作業療法士が関わることの意義
  ・日常生活活動(ADL),生活の質(QOL)を重視しながらの評価と訓練ができる.
  ・対象者の障害受容や地域参加への援助ができる.

6.機能訓練事業以外の事業
 @福祉用具相談: 市の依頼で実施.
自助具,福祉用具,住宅改修の相談を
利用者の自宅に訪問して行う.
 A地域住民
   グループへの支援:
市の依頼で実施.
ボランティアの方々が,各地域の訓練会で
リーダーシップを取れるように,
保健師と作業療法士とで指導する.
作業療法士は作業の介助方法や対応方法などを指導する.




介護予防・生活支援事業 作業療法士による実践


 発行  神奈川県作業療法士会
 事務局(住所 : 〒231-0011 横浜市中区太田町4−45 第一国際ビル 301号室)
 http://kana-ot.com/
 編集  神奈川県作業療法士会 地域リハビリテーション対策部

  浅海奈津美(北里大学医療衛生学部)≪編集責任≫
  中村径雄(小田原市立病院)
  坂間和弘(介護老人保健施設 ライフプラザ鶴巻)
  鈴木郁子(鶴巻温泉病院)
  渡辺実智代(鶴巻訪問看護ステーション しぶさわ)
  高田靖子(川崎市社会福祉事業団 れいんぼう川崎)
  小林絹子(川崎市社会福祉事業団 れいんぼう川崎)
  池田真美(横浜市総合リハビリテーションセンター)
  疋田 文(介護老人保健施設 老健さがみ)



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